昔のおばあの家

Shingo

2010年03月09日 11:06

沖縄古民家の人気があることが前回の記事で感じました。


前回は相談物件でしたので、写真が公開出来ませんでした。

そこで、私のひいお婆ちゃんの建て替え前の写真がありますので、そちらをアップしたいと思います。



こちらが、当時、建て替え直前に、私が撮った写真です。




この木造住宅は、私のひいおばあちゃんが、女手一人で当時、建てたとういうことでした。(施主という意味です。)

円ではなく、ドル($)で、話してました。



結構、凄い話ですよね。





最初は、小さかったらしいんですけど、少しずつ、増築して、写真のような建物になっていったようです。


その話を聞いて改めて、建物を見たときに、増築の後が理解できました。




昔の家で過ごしていると、今の建築の考え方や生活のスタイルが、大きく変わったことが理解できます。



私が、一番、感じたのは、地域との関わり方が、大きく変わったということですね。




ひいおばちゃんが健在の頃、遊びにいっていたら、近所の人たちが、結構、お茶しにくるんですよね。

「あい、遊びにきてるねー、元気ねー」

「学校、どんなねー」

「何年生なったねー」

みたいに!

お陰で、人と接するのは、慣れましたね。




建築が変わったからなのか、或いは、社会が変わったからなのか、
どちらが先なのかは分かりません。

でも、明らかに建物の造り方と地域との関わり方が変化していることを感じます。




昔の家は、門から敷地に入り、正面にあるヒンプンを右、或いは、左から回り込んで、住宅のヌレエン(アマハジ:庇部分?)へとアプローチします。



玄関?へは、用事がない限り行きません。



そのため、セキュリティが低いです。






ヌレエンには、いつでも、お茶が出来るように、お茶や茶菓子などが置かれています。


「おばあ、どんなねー」


みたいな、たわいもない会話が、交わせられます。


こちらもあまり用事とは言えませんね。


今なら、携帯電話で済ませそうすね。







昔の家は、こんな風に、地域のコミュニティが自然と意識することなく形成することできた建物なんですね。




もしかしたら、密接なコミュニティがあったからこそ、セキュリティが保たれていたとも言えるかもしれません。

もちろん、犯罪は、ゼロではありませんよ。



こういったコミュニティの中だったからこそ、年寄りが一人で、暮らしていても安心できる時代だったかもしれませんね。

私のひいおばあちゃんもそうでした。

家を離れたがりませんでしたね。





これに対して、最近の建物は、セキュリティがかなり高いですね。

昔と比較すると要塞のようです。

門から入ることさえ、容易ではありません。




こうなると、この高齢化社会の中で、お年寄りの一人暮らしは、心配になります。




しかし、そうは言っても今の時代では、もう以前のような家は、危険なスタイルにもなりかねません。




そんなことを考えていると、建築を計画する立場の一人として、感じるものがありますね。

計画次第で、コミュニティや地域のセキュリティなどに少なからずも、影響も及ぼしているんだという意識は、必要だなと思います。





私も計画するとき、その辺りを常に意識するようになりました。


敷地内の建物だけをデザインするのではなく、その周辺環境への配慮も大切だと思っております。


ん〜、例を揚げて、この先を書き続けてみたんですが、とても長くなりそうなので、また、今度、書きたいと思います。





最後に、建て替え後の住宅をちょこっとお話します。

ひいおばあちゃんが亡くなって、急に老朽化が進んで、危険な状態でしたので、建て替えることになりました。

予算がないこともあり、かなりのローコスト住宅です。




また、ひいおばあちゃんが亡くなって、トートーメーだけの建物ということだったんですが、みんなが、以前のように、引き続き、集まりやすいような計画にしました。

田舎なので、こうしたスタイルは、残したかったという思いから、昔のスタイルを意識して、建て替えました。




プレハブ案もあったのですが、私が反対をして、今の建物になりました。

今では、なぜか、おばさんが、毎日ではありませんが、カフェをやっています。

写真からは、少し、改装したりしていますけどね。




トートーメーのあるカフェということでも有名らしいですよ。

「家庭料理のお店 茶ーだ」
http://tida.ohitashi.com/index.html




プレハブだったら、こうはいかなかったかも知れませんね。


これからの建築計画にも活かしていきたいと思います。






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